10年愛してくれた君へ
自分の部屋に行き、いつも持ち歩いている手帳をカバンから取り出して開く。
再来週の土曜日に、"春兄と野球観戦"と記入し、野球ボールのシールを貼った。
そして携帯を手に取ってメッセージアプリを起動。送り先は河西くん。
【さっきは急にごめんね!
あと、野球観に行くの許してくれて
本当にありがとうね!!
実は毎年の恒例行事だったの!
だから河西くんがいいよって
言ってくれて、嬉しかった。
河西くんともたくさん遊びたいなぁ】
送信。おっと、もう返事が来た。
【わざわざお礼なんて、律儀だな!
毎年行ってんのか!いいね!
俺野球わかんねーからなぁ
ってか、そんな可愛いこと言うなよな
色んなところ行こうぜ!】
か、可愛い!!??
カァッと赤くなるのが自分でも分かった。
本当に河西くんは、心の広い人だ。その寛大さについ頬が緩む。河西くんと付き合えて、私は幸せ者だ。
その後他愛ないやりとりを続け、結局寝たのは0時を過ぎた頃だった。