10年愛してくれた君へ
アトラクションを待っている間、他愛のない会話が続く。
「そういえば、部活の人とサッカー観に行ったんだよね?楽しかった?」
「ん?おう!応援に熱が入り過ぎて、観戦中はあんま喋らなかったけどな」
確かそのメンバーの中に、高橋さんもいたっけ。
男子二人、女子二人で行くって前に河西くんが言っていた。
「サッカーの応援ってあまり休憩ないから大変だよね。私行った事ないけど」
「でも暇な瞬間がない分、ワクワクが止まらないんだ。観ていてすげー興奮すんの」
その言葉通り、そう話す河西くんの表情はまるで少年のようにキラキラと輝いていた。
「そうなんだ~なんか行ってみたくなった!」
「じゃあ今度一緒に行くか?」
「行きたい!」
次の遊園地デートの他に、サッカー観戦デートの約束まで取り付けてしまった。
結構順調じゃない?
しばらく並んだあと、私たちの順番がやってきた。
スタッフの指示に従いながら荷物を預け、安全バーを下ろす。
並んでいる時間に比べて、アトラクションに乗る時間は物凄くあっという間。
垂直に落下するジェットコースターは迫力満天だった。
あのふわっと浮き上がる感覚に慣れることは一生ないだろうが、とても病みつきになる。
出口に向かい、次は何に乗ろうか話していると、誰かが河西くんを呼んだ。
「あれ?河西先輩?」
二人同時に振り向くと、そこには高橋さん。
「あ、鵜崎先輩も!もしかしてデートですか?」
あまりにも偶然だ。
こんな広い敷地で知り合いに会うなんて。