10年愛してくれた君へ
「高橋じゃん!奇遇だな!」
「友達と遊びに来てたんです。まさかお二人に会っちゃうなんて」
今日みたいな晴天によく合う、高橋さんのまぶしい笑顔。
「でも...」
しかし、その太陽のような笑顔が一瞬で曇った。
「どうしたの?」
私は声をかける。
「実は...その一緒に来ていた友達とはぐれちゃって」
「連絡は?」
「携帯もどこかで落としちゃったんです。だから連絡の取りようもなくて...」
それは大事態だ。
こんなに広いところで連絡なしに落ち合えるはずがない。
「じゃあ呼び出してもらうか?そうしたら友達も来てくれるだろ」
河西くんは園内マップを取り出し、案内センターの場所を探す。
「あ、でもとりあえず落とした携帯探したほうがいいんじゃない?きっと友達からの連絡も入っているだろうし!」
高橋さんは私たちのやり取りを黙ってみていた。
私の言葉に河西くんは、『それもそうだな』とマップを閉じる。
「待って!まだしまわないで!多分落とし物センターに届いているかもしれないから...」
河西くんがしまいかけたマップを奪い、落とし物センターを探す。