10年愛してくれた君へ
9.近づく心
「ついに就活終わったんだね〜!本当、お疲れ様!!」
春兄から連絡があり、私たちはファミレスにいる。
『一緒にメシ食べないか?』というお誘いだったのだけれど、まさかこんな嬉しい報告が聞けるとは。
「ありがとう。入りたい会社から内定出たから、終わらせることにしたよ」
「流石だな〜。入りたいところに入れるなんて!!私も嬉しいよ」
河西くんとの遊園地デートから数ヶ月。
高橋さんが何をしてくるわけでもなく、意外と平和な時間が流れていた。
たまに廊下ですれ違うこともあるのだけれど、目を逸らされるのは決まって私の方で。
よくわからないまま過ごしていた。
「藍の方はどうだ?」
「ん?何が?」
「河西くんとは順調?」
「…うん、順調っちゃ順調かな」
高橋さんが気がかりだけれど、何もないまま数ヶ月経っているわけで。
実際河西くんとは、色々なところへ出掛けているし、喧嘩もない。
順調に進んでいると言ってもいいだろう。