10年愛してくれた君へ

しかし、その数時間後。



「あー。もうダメ、ギブアップ。解らなすぎて時間の無駄な気がしてきた…」


自力で何問か解いてみたけれど、次から次へと詰まる問題が出てくる。


危機感を覚えた私は、我慢していた手法を使うことにした。



助けてもらおう…春兄に。


携帯を取って電話を掛けると、春兄はすぐに出てくれた。


『もしもし?』


「あ、春兄?あの…もし迷惑じゃなかったらなんだけど、べ…勉強をね?見てほしいなーって…」


『何?ついに藍も本気出したの?』


少しバカにしたように笑いながら言う。


「さすがにまずいなと思い始めまして…参考書買って自力でやろうとしたんだけど、解らないところ多すぎてさ」


『そっか、いいよ、藍の家庭教師やればいいんだろう?今日はもう無理だから、後日なら』


「ありがとう!!助かるよ春兄」


予定を合わせ、春兄に来てもらう日を決めた。


いつも優しい春兄だけど、今回ばかりは…



『解らなくても、ちゃんと問題に目通しておけよな?』


「はい、先生」


ちょっぴり厳しかった。


たまに厳しい方が、バランスがとれていていいのかな?
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