パートナー
「最低なのかな」
田中は愛海の手を握った。
ほんのりと温かさが広がる。
愛海はまだ泣いていた。
「そう」
私最低と小声で繰り返す。
田中は何度も彼女の手をさすった。
「こんな言い方しか出来ないけど」
「……」
「お姉ちゃんは幸せだよ。それを、愛海ちゃんが気付かせてあげなきゃいけない。だから、早く歩かなきゃいけない。分かるかな」
愛海は真っ直ぐに出口を見た。
涙が止まりそうだった。
「お姉ちゃん、平気かな」
彼女が、初めて見せた強さだった。