パートナー












「……ごめん」
「聞いてたんですか」

ドアの外には田中さんがいて
驚いた眼で見ると近くのベンチに座る。
その後は、優しく笑って私を撫で
何故だか子守唄を歌ってくれた。

どうしてだかわからないけど
何だかおかしくなって笑ってしまった。

「…………」
「愛海ちゃん、言ってたよ」
「え?」
「お姉ちゃんが大好きだってさ」

笑顔は変わらない。
優しいまま、私に向いていた。
点滴が一滴。そして一滴。

透明な水が光に当たって光っていた。

私は信じられないまま、
田中さんの裾を掴んでいた。

「姉妹ソッくりだね」

そう言っただけで
田中さんは病室に入っていった。

私は気まずくて近づけない。
だから、三分ぐらいしてから動いた。
考えすぎかもしれないけど
私は愛海が、
私を裏切るんじゃないかって疑っていた。











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