【番】甘々なボスに、とろけそうです。
大好きな人と暮らしてみて思い知った。
一緒に、食事して。
他愛ないことを話して。
寄り添って眠ることが――こんなにも幸せだなんて。
ついこの間まで、私は、知らなかった。
お弁当箱が、空で戻ってきた嬉しさ。
出した食事を残さず食べてもらえた嬉しさ。
今、とてつもなく……幸せだ。
「お先」
お風呂あがりのボスは、仕事中とは全然雰囲気が違う。
髪がおりているせいだ。それは、会社では見せない姿で。
ボスは、私の前では、たくさん笑ってくれる。
会社では強面で通っているらしいのに。
「私も、お風呂いってきます」
「一緒に入ればよかったのに」
「いやいや、それは……」「もう、何回も見てるだろう?」
「そうですけどっ……」
「裸見られるよりずっと照れくさいこと、してると思うが」
……ボス。耳元で、そんなこと囁かないで下さい。
「い、いってきます!」
私しか知らないボスの一面があることが……嬉しい。