無理すんなよ。
「遥生っ!」
大きな音とともにいきなりドアが開き、息を切らしたお母さんが病室に入ってきた。
その瞬間、私の体から冷や汗が止まらなくなり、震えだしたのが自分でもわかった。
「大丈夫なの!?看護師さん、遥生は無事なんですよね!?」
ものすごい剣幕で迫ってくるお母さんに圧倒されて、看護師さんは何も言えなくなっている。
「も、もう少しで検査の結果が出ますので、少々お待ちください……」
だんだんと小さくなる声から、よほど怯えてるんだとわかる。お母さんの迫力は相当なものだ。
と、そんなことを思いながら他人事のように眺めていると、今度は私の方にお母さんは詰め寄ってきた。
そして、なんの躊躇もなく。
────パシッ!
乾いた大きな声が、病室に響いた。