無理すんなよ。
「痛っ……」
「琴葉!!」
突然のことで、頭が追いつかない。今私、お母さんに頬を叩かれた、の……?
いつにも増して大きな声で怒鳴られて、肩がビクッと跳ね上がる。恐怖しか感じない。
叩かれた頬からはだんだんと痛みが伝わってきて、きっと腫れてるんだろうな、なんて察しは容易につく。
「何度同じことを繰り返せば気が済むの?あなたは遥を守るために存在してるのよ?」
その言葉で、ハッと我に返る。そうだ、私は遥を守るために姉として生まれてきた。
守れないのなら、救えないのなら、存在してる意味なんてない。
だって私は最初からいらない存在。お母さんのあやつり人形なんだから。
そんなの、ずっと前から言われてきたことじゃない。今になって背く方がおかしいの。
だから、私が間違ってるの。いつだって、お母さんが正しいんだから。