無理すんなよ。
「もう……アンタはうちの疫病神よ!!」
「……っ」
疫病神。そうだ、役に立てない私なんて疫病神だ。いらないんだ。
もう全部捨てちゃえばいい。このあたたかい感情も、人との繋がりも、全部全部。
「やめてよ、お母さん……!」
点滴に繋がれたまま遥が起き上がって、お母さんに歩み寄る。その瞳はやっぱり揺れていた。
ごめんね、遥。ごめんね、ふたりとも。そしてごめんなさい、看護師さん。
でもこれが、私達の家族の形なの。
いつだってお母さんの命令が絶対で、私はそれに必ず従う。
遥には体が弱いから過保護だけど、私には基本的に無関心。
お父さんは私達が物心つく前に病気で他界してしまったから、記憶には残ってない。
だからこれが、私にとっての当たり前。そしてもう変えられない現実なの。