無理すんなよ。
闇
「ねぇ、琴……」
ふいに呼ばれ、なあに、という意味を込めて首を傾ける。
振り返ると、そこには苦しそうな君がいる。
……ほら、やっぱり。君は私がいなきゃダメじゃない。
ひとりじゃ生きていけないじゃない。
「ごめんね……。僕のせいで」
君はすぐそうやって、なんでも自分のせいにする。
何も悪いことはしてないのに、いつも責任を感じてる。
少しくらい人を頼っていいのに。君は、頼らなきゃいけないのに。
家族にも、誰にだって嘘をついて生きてる。
私はそんな君の心の闇を知ってるから。
だからこそ、力になりたい、支えてあげたいと思うんだよ。
だって君はこの世で唯一の、私と血を分け合った姉弟でしょう?