無理すんなよ。
「そうだよね。自分で伝えなきゃ意味ないよね」
うん、確かに私が言いたかったのはそんな感じのことだけど。
でも、今聞きたいことは、遥のことじゃなくて……。
「教えてくれてありがとう」
あぁ、どうしてそんなに眩しい笑顔を私に向けるの?
あなたとは住む世界が違う。荒井さんも私とは反対で光を浴びる人間なのに。
「……本当は、もっと冷酷な人かと思ってたの。でも」
琴葉ちゃんは、優しいんだね。
静かに発された、きっと荒井さんにとっては何気ないであろう言葉が。
私の心を大胆に、とても強く打った。
穏やかな表情。まるで、朝の目覚めの光のような。
このまま眠ってしまいそうな、心地いい……。