無理すんなよ。
日が少しずつ長くなり、暑い日差しが私達を照らす。私は今、みんなと屋上に来ている。
人も少なくてあたたかい日差しが当たる屋上は、気持ちいい絶好の場所。
「はい、遥。お弁当だよ」
「遥生くーん!私も作ったよ、はいっ!」
可愛らしい笑みを浮かべて、麻莉奈は遥の体に巻きつく。遥も少しはにかみながら、「ありがとう」と返す。
なんだか、いい感じのふたり。恋愛はよくわからないけど、このふたりには幸せになってほしいと思う。
だって、私の大切な姉兄と友達なんだから。そのときは満面の笑みで祝福しようと決めてるんだ。
「なぁ、琴葉」
ふいに、ひとりだけの世界に入ってた私に声をかけたのは桜庭くん。
桜庭くんとは遥のことであれからもよく話すようになって、今では私の “ 友達 ” として一緒にいてくれる。
友達ができることすら今までなかったのに、男子の友達なんて少し戸惑ってしまうけど。
ぶっきらぼうだけど、桜庭くんは優しい人なんだってわかってるから。