無理すんなよ。
涙
一瞬、何が起こったのかわからなかった。
グラウンドの人は、どのクラスもアンカーにバトンが渡ったからかアンカー争いに夢中だ。
きっと遥が倒れたことに気づいてるのは極一部だと思う。でも、それでも。
「遥っ!ねぇ、遥!」
いきなり外野から来た私に驚いたのか、遥の回りを囲っていた先生が私の動きを制止した。
お願い、避けてよ。遥が危ないんだから。現にこうして、遥が倒れてるんだから。
────バン、バン!
リレーはどうやら決着がついたらしい。桜庭くんが手を上げて喜んでるのが見えたから、きっと4組が1位だろう。
「遥、大丈夫だよ。大丈夫だから……」
そう言葉を投げかけても、返事はない。急いで救急車を呼び、お母さんに電話をかける。