無理すんなよ。
「そうだよ、私を頼ってって言ったよね?全然頼りにしてくれてないじゃん!」
麻莉奈は頬を膨らませて、私の背中を軽く叩く。でもふたりとも、笑っていた。
体を包むぬくもりが離れ、頬に残ってた涙が拭われる。私の視界を埋め尽くすのは、相変わらず桜庭くんだ。
「なぁ、本当にダメなのかよ。お互いを頼って助け合うのは、いけないことなのか?」
……桜庭、くん?何かを抑えるように、真剣な眼差しで訴えてくる。
彼の真剣さが伝わるけど、それよりも……寂しそうな表情に目を奪われてしまった。
「だったらなんで友達がいるんだよ!なんで世界にはたくさんの人がいるんだよ!それは、生きていくために支えが必要だからじゃないのか?」
今までにないくらい熱く語り続ける桜庭くんは、どこか様子がおかしかった。
もしかしたら、何か辛い過去でも抱えてるの?そのときと、私と遥のことを重ねて見てるの?
そう思わずにはいられないほど、桜庭くんは感情的になって伝えてくれた。
それでも私達のことを見兼ねて言ってくれてることに変わりないよね。