無理すんなよ。
「琴……?浩都に麻莉奈ちゃんも……どうかしたの?」
キョトンとした顔で尋ねてくる遥には毎回笑みがこぼれてしまう。あんなに大変だったのに、本人は覚えてないなんて。
思い出してナースコールを押した。
「もうっ、遥生くんったら忘れちゃったの?」
「体育祭のリレーのとき、倒れたんだぞ?本気で焦ったんだからな」
ふたりが事情を説明すると、遥はやっと思い出したのか「あぁ……」と曖昧に返事をする。
その様子を見て、また3人で苦笑いをする。もう、遥ったら……。
「ったく……琴葉とは険悪だし、いきなり走るとか言い出すし、心配かけんなよ」
何気なく発された私との関係に思わずドキリとする。さすがにそのことは覚えてる、よね……?
確かに距離を置いてて険悪な仲になってた。でも今は違うの。