ヒミツの夜、蛍の光の中で
1章

先輩に憧れて




「すごい……」


目の前に広がるのは、汗が輝く体育館。


そして、真剣に練習する先輩の姿。


ドン、ドン、とボールをつく音がそこら中から聞こえる。



俺は今、部活動見学に来ている。


ちょうどこの時間帯はバスケ部みたいだ。



バスケは小学校の頃にやっていたけど、中学ではめんどくさくて部活には入っていなかったっけ。


でも改めて見ると、バスケって……かっこいいかも。



綺麗なフォームに、揃ったかけ声。


そして見ている人にまで伝わるほどの熱気。


それら全てに、目も心も奪われそうになる。




目を輝かせながら周りを見渡していると、


「興味ある?バスケ」


爽やかな笑顔に声をかけられ、一瞬動きが止まってしまった。



その顔は、思わず息をのんでしまうほど整っている。


まるで漫画にでも出てきそうな、そんな容姿の人だった。
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