ヒミツの夜、蛍の光の中で
「そんな子と一緒に委員会できるなんて嬉しいな」
彼女─────氷川先輩は、そう言いながら微笑む。
やっぱり、どんな表情でも絵になるような人だ。
綺麗、可愛い、美しい。
どの言葉も似合うと思うけれど、1番は “ 透明 ” だな。
彼女が笑うと、周りの空気までもが穏やかになったような気がして、なんだか気持ちも安らぐ。
そんな、一緒にいたいと思えるような人だ。
「……氷川先輩も、本が好きなんですね」
いつもならあまり続かないはずの会話。
それでも今は、氷川先輩ともっと話していたいと思った。
いや、もっと氷川先輩のことを “ 知りたい ” と思ってしまった。
「うん。本を読んでいるときって、他のことは考えないで夢中になれるでしょ?」
他のことは、考えないで……?
なぜだろう、嫌な予感がする。
胸がザワザワと騒いで落ち着かない。
だって、この顔は─────以前の怜斗先輩の寂しそうな表情に似ているから。
一体なんなんだろう。みんなが抱えているものは。