ヒミツの夜、蛍の光の中で
「あの、氷川先輩」
俺なんかじゃ力になれないかもしれない。
力不足で、頼ってなんてくれないかもしれない。
それでも、氷川先輩をひとりにはしたくない。
ひとりになれば、きっと……泣いてしまうと思うから。
これは俺の推測だけど、氷川先輩は。
知陽先輩にも言えない何かを抱えている。
「ひとりになりたいときは、呼んでください」
だから、俺の前でだけは無理をしないでそのままの氷川先輩でいてほしい。
そんな居場所を、俺がつくってあげたいと思うから。
「……うん、ありがとう」
きっと何かを悟ったんだろう。
振り返らずに、氷川先輩は頷いた。