ヒミツの夜、蛍の光の中で
「ナイスプレー!また1on1しようなっ!」
知陽先輩はニカッと笑ってそのまま走っていった。
……やっぱり彼は、太陽みたいだ。
悔しい。どうして抜けなかったんだろう。
そんな暗い顔をしていた俺に気づいて声をかけてくれたに違いない。
負けたけれど、楽しかった。そんな感情が芽生えていくのが自分でもわかった。
「蛍、お疲れー。よく頑張ったじゃん!」
そんな晴れ晴れとした気持ちが、陸が話しかけてきたことで薄れていく。
「ちょ、何嫌そうな顔してんだよー。親友だろ?」
「誰が親友だよ。いつの間にか観戦してたくせに」
そう言うと、本当に落ち込んだような表情を見せたから「冗談だよ」と無表情で言って水分補給をする。
やっぱりすごかったな。俺も、あんな風になりたい。
いつ見ても先輩のプレーはそう思わせてくれるから不思議だ。