ヒミツの夜、蛍の光の中で
「じゃあ、蛍」
急に真剣な顔つきになる先輩。
「バスケ部、入ってみないか」
きっとこれは、プレッシャーを与えているとか。
そういうことじゃなくて、俺のためを思って率直に聞いてくれたんだろう。
俺も素直に向き合ってくれた方が、返事がしやすいし。
この先輩は─────いや、奥田先輩は本当にすごい。
初めて話してからたった数分しか経ってないけれど、それがわかる。
こんなに正面から向き合おうとしてくれる人、初めてだから。
でも、俺の中での答えはまだ出ていないから返事をしようにもできない。
と、そこまで考えてふと気がついた。
物事にはゆっくり考えることも大切だけれど、直感と自分の気持ちだけで考えることも必要だってこと。
────直感。
俺は、バスケをしたいか?
この人と一緒に、熱くなってやっていきたいか?