ヒミツの夜、蛍の光の中で
◇◆◇
「おーい、こっちこっち」
「あっ、はい」
手招きされながらやってきたのは、他の先輩もいるところ。
今日から俺は、バスケ部の一員として練習することになった。
部長である奥田先輩の「まずは新入部員の紹介な!」という言葉で、自己紹介が始まる。
「宮岸蛍です。以前にもバスケをやっていました。スタメン目指して頑張っていくので、よろしくお願いします」
周りは静まっていて、自分の鼓動だけが聞こえる。
今のは失敗だったんだろうか。もう少し詳しい方が良かったか?
そんな考えを巡らせるが、対話能力が低い俺は答えまで辿り着けない。
ちょっと、緊張するな……。
でも、俺の他にも9人の1年生が紹介されると、気持ちも軽くなりなんだかやる気が出てきた。
上手くなりたい。
もっともっと、高いところへ。
バスケを、したい。
見学に行った日からずっと俺の心はその気持ちでいっぱいだった。