ヒミツの夜、蛍の光の中で

おかげで今年は例年よりも新入部員が多いらしく、10人もいる。


そんな同級生も、いや先輩だって、ときにはライバルになったりもするんだろう。


でも、俺は負けたくない。



「蛍って、前にもバスケやっていたんだな」


「はい、小学生の頃ですけどね」


その頃を思い出しながら答えると、最近のことのように今でも鮮明に頭に浮かんでくる。



あの頃は……楽しかった。


毎日に意味があって、いつだってその楽しみを共有できた。



……じゃあ、今は?今はその共有できる “ 誰か ” はいる?


いない、きっといないんだ。誰だったのかなんて検討もつかないけど。




「なぁ、知陽」


「んー?」


森本先輩の真剣な声に対して、奥田先輩は間延びした声で返事をする。


やっぱりこのふたりは真逆だな。でも、だからこのコンビは面白い。
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