君と恋がしたい短編集
「なにお前キスしたのキス?」
「うるせえんだよ。じゃ、菜乃花ちゃんまたね」
そう言って林君は真っ赤な顔をして廊下を走って行った。
「…へっ?」
取り残された私が現実を取り戻したのはそのあとだった。
さっき、何て言ったの?
私のこと……好き?
好き?
好き…?
頭の中で何度もリピートして体が熱くなる。
林君が、私のことを、好き?
信じられない。
ただただ嬉しくて何もできない。
だけどひたすら林君に会いたい。
今度こそちゃんとチョコを渡して、遅れてごめんねって言って、
私も林君のことが好きですって言うんだ。
Fin.