『*ソラアイ*』
そう言いながら、真知は机でうなだれてる私に視線を合わせて、髪を撫でた。

「髪だって、綺麗な黒じゃない。」

にこっと笑う真知。
私は、なんか恥ずかしくなって視線をそらした。
真知にそう言われるとなんか照れくさい。

「…それに、美羽には隼人くんがいるし…」

『え??隼人?』


きょとんとして顔を上げた私に、真知は、手をパクパクさせながら、「ほらっ!幼なじみって、素敵でしょ。いつも一緒にいるんだから、付き合っちゃえばいいのに。」


『嫌だ。隼人とは、ただの腐れ縁だもん。』

…その時は、本当にそう思ってた。なんでみんな私と隼人をくっつけたがるのか、不思議だった。


「…そっかぁ。」

『??真知?』


私は、不安気に真知を見た。なんか、悲しそうだったから。私変なこと言ったかな?


真知は、私が呼び掛けるとはっとなって、またいつものように穏やかに笑った。
「そうだ!美羽。髪伸ばしたら?絶対似合うよ。美羽の髪ストレートだしV」

いつもの笑顔。
…私は、あの日から、髪を伸ばした。高校に入ってみんな茶色くしても真知が綺麗と誉めてくれたから、私は今も染めずに黒いままでいる。


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