大好きなきみへ、あの約束をもう一度


「早織っ……帰ってきて、早織っ!!」



両手で顔を覆って、私は泣き崩れる。

そんな私の傍に海斗が立つのが気配で分かった。



「湊……お前は、自分のこと責めすぎなんだよ……」


「えっ……」



ふわりと、海斗が私を腕の中に閉じ込めた。

それに驚いて顔を上げると、海斗の手が、その長い指が頬に伝う涙を拭っていく。



「湊のせいじゃない」


「違うっ……全部、全部私が悪いのっ。あの手を離した、早織を忘れて、海斗を好きになったっ……」



早織のことも大切、だけど他にも大切な人たちが出来た。

それが、いけなかったんだよっ。



「お母さんのことも、責めたいわけじゃないっ。だけど、自分の、気持ちが抑えられなくてっ……」



私は、やっぱりおかしいのかな……。

病院の先生の言うとおり、精神病なの?



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