大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「湊は、親友をすげー大事に思ってるってことだ。その気持ちまで、見失うな」


「っ……私、悲しかったのっ」



だから、自分の気持ちもその悲しみで見えなくなってた。

だけど、この胸にあるのは……早織が大切だという想い。



「あぁ、悲しかったよな……。こうしててやるから、いっぱい泣いとけ、な?」


「ううっ……うんっ……海斗っ」


海斗にしがみつくように泣けば、優しく頭を撫でられた。



海斗……この人のことは、信じられる。

あんなに不信感で溢れてた心が嘘みたい。



「大丈夫、湊が満足するまで、傍にいてやるから」


「あり、がとうっ……」


早織と一緒にいるために、未来を捨てるか。

海斗達と生きていくために、過去に早織を置去りにするのか……。


正しい答えなんか分からないけど、今は、今だけは……。


「海斗っ……海斗っ」


「ん、そばにいる……大丈夫だ、湊」


何も考えずに、ただこの悲しみを吐き出したい。

涙になって、全部流れていけばいいのに。

そう思いながら、私は海斗の胸でひたすら泣いた。



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