大好きなきみへ、あの約束をもう一度
3章
どんな時も傍にいる
地面にゆらめく蜃気楼も懐かしく、今じゃすっかり過ごしやすくなった9月。
青葉が、オレンジに色づく季節がやってきた。
まさに始業式である今日、私は学校ではなく、精神科病院の外来に来ている。
「湊、俺も聞いていいのか?」
「うん、むしろ傍にいてほしい」
そう……海斗も一緒に。
海斗は、私を心配して2限まで学校を休んでくれたのだ。
お母さんは……一緒には来てない。
この間、お母さんに酷いことを言ってしまったことを、引きずってたから。
また……酷いことを言ってしまいそうで、怖かった。
正直、今の私は、1人では不安定。
だけど、定期外来の日がやってきてしまって、海斗についてきてもらったのだ。
海斗が傍にいてくれてホッとしたな。
「早織のこと、ちゃんと話せるか不安なの……」
先生に言ったら、きっと早織が消えた理由も、頭痛の原因も、ハッキリしてしまう。
それを知るのが……怖いんだ。
「湊……分かった、絶対に1人にしねーから」
そう言って優しく前髪を撫でられた。
それに気持ちが静かに落ち着いてくる。