大好きなきみへ、あの約束をもう一度

もう一度、その手を掴んで




新学期が始まって、最初の日曜日。

私は、海斗たちと、早織と来たあの川にやってきていた。



「ここが、早織の亡くなった場所か……」


しみじみと言った海斗の視線は、川のほとりに備えられている仏花に向けられていた。


「あれから、一年……長いようで短かかったな……」


苦しんでる時間は長いのに、時は無常にも過ぎ去るのが早いんだ。



私は、靴を脱いで、その中に靴下を詰め込む。

そして、スカートの裾を持ち上げると、静かに川へと足を浸けた。


――バシャンッ。


「っ……冷たい……」


それにまだ、やっぱり水が怖いのは克服できてないみたい。

体が、寒さとは別に震えていた。


「あぁ、でも……ここは何も変わらないんだな」



跳ねるような水の音に、私はあの日、早織との会話を思い出す。



『わぁーっ、気持ちいいっ!!ね、そう思わない、湊っ!』


『うん、本当にね』


あの夏の日にはちょうど良かった水の温度も、今じゃ……。


「すっかり冷たいね、早織」


私は、いるはずの無い早織の姿を、川に足を浸けながら探した。


『ふふっ、また……向こう岸までどっちが先に行けるか、勝負でもする?』


「えっ……」


この声、早織!?


姿を探せば、いつの間にか目の前に早織が立っていた。

私の数歩前、同じように川に足を浸けて、私の知ってる明るい太陽みたいな笑顔を浮かべて。




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