大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「もう、離してよっ、ほら、これ!」
私は海斗の腕から逃れて、洗いたてのジャージが入った紙袋を押し付ける。
「んお?これ……あ、ジャージか」
「お借りしてたので、それじゃあ!」
要は済ませたと言わんばかりに、海斗の言葉で言うならスタコラと、教室の方へと歩き出した。
全く、心乱されるのは好きじゃない。
最近は、私の静かな高校生ライフがぶち壊れてる。
『根暗な湊には、海斗みたいにグイグイ引っ張ってくれる人がお似合いだと思うなっ』
「早織……絶対楽しんでるでしょ」
『恋は最高の好物よ!』
恋言うな!!
しかも、海斗みたいな人気者に恋なんて……。
なっ、無い……絶対に無いっ。
『ぷぷっ、ツンデレなんだからー』
私の隣をルンルンとスキップしながら歩く早織に、軽く怒りがこみ上げる。
全く、早織ってば他人事だと思って。
相手はクラスの人気者なんだよ?
絶対面倒なことになるじゃん、目に見えてるって。
主に、女子に絡みのゴタゴタとか!!
――グイッ。
「わっ……」
突然、後ろから手首を掴まれて、軽く後ろに引かれる。
驚いて顔を上げると、身長の高い海斗が、上から私の顔をのぞき込んできた。