大好きなきみへ、あの約束をもう一度
「毒島さん、こんな人たちともうわべで付き合うの?」
毒島さんの前にしゃがみこんで、いつかした話の続きを持ちかける。
すると、両手で顔を覆ったまま、毒島さんの動きが止まった。
「ここまでされても、繋がりが必要かな」
「それ、は……」
「卒業したら、どうせみんなバラバラだよ。その後に残る関係なんて、本当の友達だけだと思う」
顔を覆うその手は、まるで鎧のように固く、微動だにしない。
私、あの時は気の利いたこと何一つ言えなかった。
だけどね、今なら出来ることがある。
『そうだね湊、毒島さんが必要なものだけを選び取れるように……』
早織も私の隣に座って、毒島さんを見つめてる。
そう、毒島さんはもう……1人じゃないし、一人にしない。
それが、私に出来ることだ。
「毒島さんの話、今度は私にたくさん話してよ。……うわべなんかじゃなくて……友達として」
「友達……として?」
毒島さんはゆっくりと手を解いて私を見つめる。
その瞳は、驚きと戸惑いと不安に揺れていた。
『湊、ほら、笑って!』
「うん、友達として!」
早織に言われた通り、笑顔で手を差し伸べれば、毒島さんは泣きそうな顔で握り返してくれた。