【企&短】歩くんのヒミツ
「ほら、生徒会で疲れてるんですよ」
けれどわたしは黙って頬を膨らましたまま、歩くんを見つめる。
すると歩くんはメガネを外し顔を腕で隠した。
「嘘。僕だってずっと由乃と一緒にいたいし。抱き締めたいし。キスしたいし。独占したいよ」
まさかここまで大胆発言をしてくるなんて思わなかった。
予想外すぎて、私の顔は再び真っ赤に。
「あーもう。顔熱いんですけど。どうしてくれるんですか。責任取って下さいよ」
「じゃあ...私の旦那さんにしてあげる」
どんな反応するのか気になり、目線を上げ歩くんを見つめる。
すると歩くんは私の肩に頭を乗っけ、
「約束だからね」
と耳元で呟いた。
そんな歩くんに、今すぐレッドカードをプレゼントしたい。
それぐらい、今の歩くんは危険だ。
結局歩くんは私のお願いを聞き入れて、ほんの少し一緒にいてくれた。
けれど、これ以上は私のお母さんも心配するだろうからと帰ることに。
帰り道、メガネを掛けた歩くんはポーカーフェイスを保っている。
私がどんなに甘えても、冷たくあしらわれて終わり。
歩くんは人がいる所では常に冷静で冷たい。
でも、私の手を握る彼の手は暖かくてしっかり握られている。