[短編]あまいこい
「…そっか」


怜くんはそれだけ言ってあたしの前を通り過ぎる。

なんだったんだろう。
自分にチョコをくれない女子はいないはずだってこと?

あたしは怜くんにチョコをあげたことがない。

怜くんとは中学校から高校二年の今まで同じ学校だった。
毎年同じような靴箱の状況知ってる。


あたしは怜くんがずっとすき。

でも、あたしじゃ見てもらえないから。

話したのだってさっきが初めてだよ。
同じクラスになったのは高校二年の今が初めてだった。

でもずっと見てたんだ。
見てただけだけどね。

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