エリート外科医の一途な求愛
イケメンお断り
六月、中旬。
ぐずついたすっきりしない天気が続いたかと思ったら、つい先日、東京にも梅雨入り宣言が出された。


傘を手放すことができないまま数日が過ぎ、今日になってやっと、何日か振りに雲間から太陽が姿を現した。
どことなく弱い陽射しが射し込む、お昼時真っ只中の学食。
仕事仲間と四人でテーブルを陣取り、食事を進めていた時。


「えええっ!? ちょっ、葉月さん、それ、本気ですかあっ!?」


先週みんなで参加した合コンの話題になり、私の隣の席に座った医療事務職に就く美奈ちゃんが、素っ頓狂な声を上げた。
一瞬片手で耳を塞ぐ動作をしてから、私は、うん、と頷いてみせる。


「なんで? 連絡先交換した人の話でしょ?」


たらこスパゲティをフォークにくるくる巻き取りながら、私は首を傾げる。


美奈ちゃんのように声を上げるほどではなくても、私の前に座っている研修医の千佳さんも、その隣の、別の医局で医療秘書をしている早苗も、ギョッとしたように目を剥いている。


「なにを涼しい顔してんですか!! だってそれ、私だけじゃなく、みんな『ないわー』って言ってた人ですよ!?」


美奈ちゃんが、すごい剣幕で私に食ってかかってくる。
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