エリート外科医の一途な求愛
「そう言えば、そんな人いましたね~。葉月さん、あれからあの人連絡してきたりしたんですか? しつこ過ぎて困ってるとかないですか?」


完全に面白がってる美奈ちゃんには目を向けず、「振られた」と一言だけ返事をした。
彼女が一瞬本気で面食らって、「は?」と聞き返してくるのは無視する。


「で、早苗。その坂上先生が何?」


振られたその場を各務先生に見られたことを思い出し、更にムカムカしながら早苗の話に耳を傾けた。
美奈ちゃん同様、ちょっとポカンとしていた早苗が軽く怯みながら口を開く。


「いや、あの……葉月と仲がいいなら、紹介して欲しいって言うんだけど……」

「ふ~ん……」


『整形外科医局の坂上先生』。
知らないけどイケメンじゃないなら、と思いながら目線を宙に上向かせる。
「いいよ」と返事をし掛けたその時。


「ダメダメ。坂上先生には、ちゃあんとお断りしておいて。仁科さんはもう既にお手付きだから」


そんな声が上から降ってきて、私たち三人はほとんど同時に顔を上げた。


「木山先生!」


まさに私の後ろに、トレーを持って立っていた木山先生に、早苗が真っすぐ目を向ける。


「え? え? お手付きってどういうことですか?」
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