エリート外科医の一途な求愛
信じられない。
強引にキスをされているのに、嫌だと思わない自分も、更に追い求めてくる各務先生も。


唇から温もりが去っていくのを感じて、私はぼんやりと各務先生を見つめた。
私の視線を受け、彼の方がそっと目を逸らす。


「あんまり見んな。……マジで」


薄暗い中でも、彼の頬がわずかに赤く染まっているのを見つけて、私の胸がドキンと大きく騒いだ。


「未知だって言ったろ。今でもこれだけ惚れ込んでんだ。暴走するほど溺愛するぞ」


各務先生は照れ隠しなのか、キスより強引に私を自分の胸に抱き締めた。
耳を当てたその胸の鼓動が、思った以上に速く打っていて、私の胸まで煽られる。


「か、がみ、せんせ……」


今まで聞いたことがないくらい、熱く強く激しい告白。
私は確かにドキドキしていて、身体だけじゃなく心も大きく揺さぶられていたのに。


呼び掛けた声は小さく消え入り、その先は何も言えなかった。
頭上で、小さな溜め息が聞こえる。


「……これだけ言っても、君に俺を好きだと言わせられないのか。畜生……。どこまで厄介なんだ。君は」


心底から悔し気に耳元で囁かれる声に、胸が震えた。
自分の物とは思えないくらい速く力強く鳴り響く鼓動に戸惑いながら、私は各務先生に抱き締められたままでいた。
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