エリート外科医の一途な求愛
その週末の金曜日、まだ陽が高くなり切らない午前中に、アメリカから教授にお客様がやってきた。
医局応接室で教授と向かい合ってソファに座るその男性の顔を、私はアイスコーヒーを運んだ時、初めてしっかり見た。
スラッとした体格で背が高く、青い目にプラチナブロンド。
私の勝手な『アメリカ人のイメージ』そのままの男性は、ペンシルベニアの医科大学で、心臓血管外科の准教授のポストに就いている人らしい。
「仁科さん、ブラウン博士だよ。各務君がアメリカ留学していた時、一緒にオペをしていた同僚だ」
教授がそう紹介してくれて、私は拙い英語で簡単な挨拶と自己紹介だけをした。
立ち上がって私に握手の手を差し出した彼が英語で何か話し掛けてくれたけれど、何を言われたのかはわからない。
『失礼しました』と頭を下げてから応接室を出て、意味もなく首を傾げる。
各務先生と一緒にオペをしたことのある同僚で、同じ准教授というポスト。
外国人って見た目から年齢がわからないな、とどうでもいい感想を抱きながら、応接室の前から離れようとして、私はすぐにピタリと足を止めた。
廊下の奥からブルーのユニフォームに白衣姿の各務先生が、大きな歩幅で弾むように走りながら、こっちに向かってくるのが見えたからだ。
不覚にも、ドッキンと胸が跳ね上がってしまうのを感じた。
医局応接室で教授と向かい合ってソファに座るその男性の顔を、私はアイスコーヒーを運んだ時、初めてしっかり見た。
スラッとした体格で背が高く、青い目にプラチナブロンド。
私の勝手な『アメリカ人のイメージ』そのままの男性は、ペンシルベニアの医科大学で、心臓血管外科の准教授のポストに就いている人らしい。
「仁科さん、ブラウン博士だよ。各務君がアメリカ留学していた時、一緒にオペをしていた同僚だ」
教授がそう紹介してくれて、私は拙い英語で簡単な挨拶と自己紹介だけをした。
立ち上がって私に握手の手を差し出した彼が英語で何か話し掛けてくれたけれど、何を言われたのかはわからない。
『失礼しました』と頭を下げてから応接室を出て、意味もなく首を傾げる。
各務先生と一緒にオペをしたことのある同僚で、同じ准教授というポスト。
外国人って見た目から年齢がわからないな、とどうでもいい感想を抱きながら、応接室の前から離れようとして、私はすぐにピタリと足を止めた。
廊下の奥からブルーのユニフォームに白衣姿の各務先生が、大きな歩幅で弾むように走りながら、こっちに向かってくるのが見えたからだ。
不覚にも、ドッキンと胸が跳ね上がってしまうのを感じた。