エリート外科医の一途な求愛
「好きだ、葉月。何度言えば『うん』って言うんだよ、君は……」


焦れるように震える声に、どうしようもなく胸がきゅんと疼く。


せっかくのお休みなのに、気付いたら飛行機に乗っちゃうくらい私のことを考えて、ちょっと子供みたいに木山先生の前から私を連れ出す。
そんな自分に戸惑ってるのに、私のことが好きだと言って、私のたった一言を欲しがっている。


そんな各務先生は、神の手を持つ有能な心臓外科医の姿が嘘みたいに、真っ白でピュアで、そしてなんだかとても可愛い。


私、この人のこと好きになれるだろうか。
彼の言う通り、本当に不安なんか感じないくらい、愛してもらえるんだろうか。
そして、今言ってくれたように、彼は私の為に変わろうとするんだろうか。


胸を過るのは期待なのか希望なのか、それともやっぱり不安なのか、自分でもよくわからなかったけれど。


「……はや、と、さん……」


私は、彼に聞こえないように、その名を唇の先で呟いた。
私を抱き締める彼の腕に、そっと手を掛ける。


絶対お断りだと思っていたイケメンの各務先生に、心をノックされるままに開きかけた自分に戸惑いながら、くすぐったいのに嬉しい気持ちは、やっぱり嘘がつけなかった。
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