エリート外科医の一途な求愛
「そうなんですか？」


美奈ちゃんにではなく、向かい側の二人に尋ねてみた。
二人とも、曖昧な表情で頷いている。


「だって！　ずんぐりむっくりでモッサい男だったじゃないですか！」

「んー。まあ確かに、ちょっとぽっちゃり目だったけど」


美奈ちゃんの言う『ずんぐりむっくり』の彼を脳裏に蘇らせながら、私はフォークをパクッと口に入れた。


先週、千佳さんに誘われた合コンは、外部の一般企業で働く年齢の近いサラリーマンが相手だった。
私は他の男性メンバーを思い出そうとするけれど、残念ながらあまり記憶にない。


「確かに『イケメン』はいなかったけどさ。なにもアレと交換しなくてもいいとは思うわ、私も」


美奈ちゃんの剣幕に押されて黙っていた千佳さんが、苦笑しながらそう言った。


「葉月のイケメン嫌いは知ってるけど……まさかアレに行くとは」


早苗もちょっと惚けたように呟く。


どうやら、私の記憶に残るたった一人のメンバーは、みんなには相当不評らしい。
私の記憶に残っているのも、もしかしたらその見た目のインパクトのせいで、唯一連絡先を交換したから、それだけかもしれないけれど。
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