エリート外科医の一途な求愛
相手が名乗るのを聞きながら、私はパソコンのロックを解除して、各務先生のスケジュールを起動させる。
電話の相手は、今までも何度かお仕事を受けたことのある、高瀬さんというプロデューサーだった。
医療物のドキュメンタリーは毎回視聴率がいいらしく、しかも腕もビジュアルも天下一品の各務先生をいつも使いたがる。
毎年数回、定期的にオファーの電話をかけてくる人だ。
各務先生が取材を受けてくれると、大学にとっても附属病院にとってもいい宣伝になるし、医局の予算が潤うという相乗効果がある。
だから教授は、積極的に話を受けろと言うけれど、肝心の各務先生のスケジュールはいつもびっしりなのだ。
今回も取材内容を聞いてみると、手術風景や大学講義の撮影だけじゃなく、彼のプライベートの撮影も一日取って欲しいという要望。
きっとそこは嫌がるだろうな、と思いながら、私は『スケジュールが調整できるかわかりませんが、後日改めてご連絡します』とだけ言って電話を切った。
「また各務先生の出演依頼ですか~?」
PHSをホルダに戻した途端、美奈ちゃんが自分のデスクから私を振り返ってきた。
電話の相手は、今までも何度かお仕事を受けたことのある、高瀬さんというプロデューサーだった。
医療物のドキュメンタリーは毎回視聴率がいいらしく、しかも腕もビジュアルも天下一品の各務先生をいつも使いたがる。
毎年数回、定期的にオファーの電話をかけてくる人だ。
各務先生が取材を受けてくれると、大学にとっても附属病院にとってもいい宣伝になるし、医局の予算が潤うという相乗効果がある。
だから教授は、積極的に話を受けろと言うけれど、肝心の各務先生のスケジュールはいつもびっしりなのだ。
今回も取材内容を聞いてみると、手術風景や大学講義の撮影だけじゃなく、彼のプライベートの撮影も一日取って欲しいという要望。
きっとそこは嫌がるだろうな、と思いながら、私は『スケジュールが調整できるかわかりませんが、後日改めてご連絡します』とだけ言って電話を切った。
「また各務先生の出演依頼ですか~?」
PHSをホルダに戻した途端、美奈ちゃんが自分のデスクから私を振り返ってきた。