エリート外科医の一途な求愛
彼の手の中の未来
夏休みのシーズンを過ぎた空港は、夜のせいもあり、結構閑散としていた。
普段ならたくさんの人で埋め尽くされていそうなベンチは、荷物をのせることが出来るくらい、みんなゆったりと使っている。
出発ロビーに駆け込むと、私はすぐにフライトスケジュールが表示されている電光表示板を見上げた。
木山先生がくれたチケットに表示された便名は、今まさに搭乗手続きの真っ最中だ。
ここに来るまでに、何度か各務先生に電話してみたけど、繋がらなかった。
いつ繋がるかわからない電話に頼るよりも、空港で探した方が早い。
そんな思いで出国ゲートに向かいながら、一度大きく辺りを見回す。
そして……。
「あっ……!!」
広い視界の中で、私は各務先生の姿を見つけた。
彼はノーネクタイのスーツ姿で、右手に小さな旅行用のボストンバッグを下げていた。
さっき私が見上げたのと同じ電光表示板の前で立ち止まり、スケジュールを確認している。
そして、腕時計に視線を落とすと、そのままゲートの方に向かっていく。
「先生っ! 各務先生!!」
その背に大声で呼び掛けながら、私は床を蹴って駆け出した。
「先生!」
もう一度声を振り絞ると、各務先生がその場でピタッと足を止めた。
普段ならたくさんの人で埋め尽くされていそうなベンチは、荷物をのせることが出来るくらい、みんなゆったりと使っている。
出発ロビーに駆け込むと、私はすぐにフライトスケジュールが表示されている電光表示板を見上げた。
木山先生がくれたチケットに表示された便名は、今まさに搭乗手続きの真っ最中だ。
ここに来るまでに、何度か各務先生に電話してみたけど、繋がらなかった。
いつ繋がるかわからない電話に頼るよりも、空港で探した方が早い。
そんな思いで出国ゲートに向かいながら、一度大きく辺りを見回す。
そして……。
「あっ……!!」
広い視界の中で、私は各務先生の姿を見つけた。
彼はノーネクタイのスーツ姿で、右手に小さな旅行用のボストンバッグを下げていた。
さっき私が見上げたのと同じ電光表示板の前で立ち止まり、スケジュールを確認している。
そして、腕時計に視線を落とすと、そのままゲートの方に向かっていく。
「先生っ! 各務先生!!」
その背に大声で呼び掛けながら、私は床を蹴って駆け出した。
「先生!」
もう一度声を振り絞ると、各務先生がその場でピタッと足を止めた。