エリート外科医の一途な求愛
私が見上げる先で、颯斗が頬を赤らめてそっぽを向いている。


「君とここで過ごす、一日……いや、一分一秒が、俺の宝物」


素っ気ない口調。
でも、私の心をぎゅんと掴む一言。


「っ……」


私も、思わず息を止めた。
そんな私に、颯斗はゆっくり目を向けて、そして、ちょっとぎこちなく微笑む。


「……メシ食いながら、テレビ鑑賞しようか」


そう言って、私を腕から解放すると、颯斗は先に寝室から出て階段を降りて行った。
私は、ドキドキする胸にギュッと掴むように手を置いて――。


「はいっ」


元気に返事をして、階段を降り切る途中の彼の背中に抱き付いた。
彼の身体に回した手に、温かい手が重ねられる。


「先に風呂入るから、メシ、用意しておいてもらえる?」


颯斗の背中から、重ねられた手から、その温もりが伝わってくる。
私の身体に彼の体温が同化していくのを感じながら、私は『はい』と返事をした。


この温かい手に、私は私の未来を預けた。
たくさんの人たちの命を繋ぐ、この逞しく力強い手に。


重ねられた手に力がこもるのを感じながら、私はそっと目を閉じた。
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