エリート外科医の一途な求愛
「まあ、俺の場合は二人きりでもないし、プライベートでもない。ただの仕事としか捉えられてませんけどね」

「各務先生っ!」


興味津々な目を高瀬さんから向けられ、頬が赤くなるのを感じながら、私は無意識に腰を浮かせていた。


「さすが、仁科さん。医局のマドンナってとこですか。エリートドクター二人を手玉に取ってるとは……」


なのに、高瀬さんまでそう言って私をからかうように目を細める。


「まあ、木山先生は多分全然眼中ないだろうし、俺は顔が嫌いって言われましたけど」

「えっ! こんなイケメンの何が不満だって……」

「もう! やめてください、各務先生っ」


男二人で盛り上がる話を、ここにいる他の撮影スタッフも聞いている。
みんな面白そうに私と各務先生を見ているのがわかるから、私は勢いよくテーブルに手をつき、膝立ちになった。


「そ、そういうところが、木山先生に嫌われるんですよ! 過剰サービスとか、ルックスを武器にしてるとか言われて!」


各務先生は、私の前で軽く肩を竦めた。
そしてテーブルに頬杖をつき、私に上目遣いの視線を向けてくる。


「仁科さん、とにかく座れば? カメラも回り始めたことだし」

「え」
< 71 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop