暗黒王子と危ない夜
「えっと、西高の制服着た人が歩いてたから、つい……」
中島くんの目つきが明らかに変わった。
睨むように外を見つめて。
「どこ?」
「あそこ……向こう側の歩道のところ」
3人はあたしの家とは反対の方向に進んで、間もなく十字路の角に消えようとしているところだった。
「あれはうちの1年だな」
中島くんはそう呟きながらコンビニのドアを押した。
「偶然だと思いたいけど、ここらをうろついてる時点で全員監視対象なんだよね」
とうとう角を曲がりきってしまって、姿が見えなくなってしまった。
「俺も1年のメンバーまでは把握しきれてない。けど……西高生がわざわざ離れたこの場所に来るのは引っかかるし」
コンビニから一歩外に出て、3人が消えた方向を静かに見つめる。
それから中島くんは、 あたしの肩を軽く抱いて、ひとまず家の方へと促した。