【BL】夕焼け色と君。
2
あれから日椎とよく話すようになった。
と言っても話し掛けるのは俺からで、日椎は面倒臭そうな顔はするけれど反応はしてくれる。
「絶対に関わらないって言ってなかった?」
ニヤニヤしながら俺を見る珠時。
「まあ、色々ありまして。実際話してみると悪いやつじゃなかったし。」
「ふーん、いいけど。今度紹介してよ。俺も興味あるんだよね。」
「まー、頃合いを見てな。あ、日椎発見!」
向こうの木陰から見える背中は間違いなく日椎だ。
「ちょっと行ってくる。」
「おー、先行ってるから講義には遅れんなよー。」
「了解!」
珠時と別れて木陰の方へ駆け出す。
そうだ、どうせなら驚かしてやろうか。
驚いた日椎の顔を想像して、そっと近づく。
「ーーー好きなんです。」
あと一歩の所で聞こえた声に、慌てて身を隠した。
「日椎くんのこと、ずっと好きでした。」
可愛らしい女性の声。
身を隠した木の影から、こっそりと覗く。
見えるのは日椎の背中とその向こうに立つ頬を赤らめたセミロングヘアーの女子大生。
俺って本当に間の悪いやつだよなぁ……。
「それでその、もしよかったら付き合ってもらえないかな……?」
「……………」
あーあ、日椎の奴また無視を決め込むつもりか?
だから誤解されるんだっての。
「…………ごめん。」
溜め息をつきかけたとき、日椎の声が耳に入った。
え、アイツ今断った?
「そ、そっか。ごめんね!」
女子大生は恥ずかしそうに走り去っていく。
えええええ、アイツこの前面倒臭いって言ってなかったか?
どういう心境の変化だよ。
俺のお説教、効果覿面か?