【BL】夕焼け色と君。
hello world
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気まずいまま別れた土曜日から二日経った月曜日。
教えて貰った連絡先にも手をつけられず、連絡がくることもなく、過ぎてしまった週末。
でもこのままってもの嫌だから、今日は絶対謝ろう。
と心に決めていたのに……今日に限って日椎の姿が見当たらない。
いつもなら嫌でも目立つ日椎。
それが意識して探しても見つけられない。
こんなことなかったのにな……。
「山碼、元気なくね?」
珠時が気に掛けてくれたが、それにも生返事しか出来なかった。
避けられてたり、するのかな………。
連絡をしようとも思ったけど、結局勇気がなくて出来なかった。
講義後寄った図書室にもその姿はなく、諦めて帰路に着く。
明日こそは絶対謝ろう。
けれどそんな思いとは裏腹に、次の日も、その次の日も日椎に会うことは出来なかった。
「あー……山碼くん、元気?」
金曜の昼、食堂で目の前に座る珠時が、恐る恐ると言った様子で俺に問う。
そう、今日は金曜日。
この一週間、結局一度も日椎を捕まえることが出来なかった。
「……………うん」
「うんって……全然元気に見えないんだけど……」
「……………うん」
やっぱ避けられてんのかな……。
昨日は連絡もしてみた。
日椎は何の応答もしてくれなかった。
そんなに……
そんなに気に触ることをしたのか……?
「…………んだよ」
「え?」
「……謝らせてくれても、いいじゃん。」
やり場のない思いを口にして吐き出す。
珠時に向けて放った言葉ではないけれど、珠時はやれやれと肩を竦めた。
「お前、今本当に酷い顔してる。」
「………うるさい。」
「別に放っておけばいいじゃん。男友達なんてそんなもんだろ?気付けば仲直り。切れたら切れたで終わりだし。」
確かに珠時の言っている通りだと思う。
例えば珠時と喧嘩をしても、ここまで気にしない。
別に珠時が嫌いとかではなく、次に会えたら謝ろうぐらいの感覚だ。
会えなかったから不安になったりなどはしない。
でも日椎は………
放っておいたら、そのまま消えてしまいそうで。
そんなのは嫌だ。
「………恋してる。」
「ぇ………」
「恋してる、顔してる。」
珠時が呆れたように俺を見た。
「山碼の顔だよ。相手のこと考えて、切な気で、恋してるみたい。」
「…………」
「前に忠告しなかった?深入りしたら抜け出せないって」
「…………ごめん、でも」
「ーーいないよ、どんなに探しても。」
「………ぇ」
「法学部の奴に聞いたんだ。日椎、この一週間大学自体来ていないってさ。」
珠時は俺を見て、少し笑った。
「体調でも悪いんじゃない?お見舞い、行ってきたら?」
考えるより先に体が動いた。
ガタッと音を立て、勢いよく立ち上がる。
「珠時、午後ふける。」
「はいはーい。あ、情報料はあとでいただきますんで。」
ありがとう、と呟いて俺は駆け出した。
この前の日椎との会話を思い出しながら、足を動かす。
家の場所、聞いといて良かった……。