【BL】夕焼け色と君。
きっと、コイツはいつもこうやって……
「ーー勝手なこと言うな!」
何でも諦めて……
「傍にいられないなんて、どうしてそんなこと言うんだよ!」
勝手に決めつけて……
「俺は絶対離れない!」
一人で、傷付いていくんだ……。
日椎の手を取って、それを俺の頬に当てた。
それから俺は口角をあげた。
「なにーー」
「これが笑ってるときの顔、」
困惑して引っ込めようとした日椎の手を力強く握る。
「逃げるな、ちゃんと見ろよ。」
「…………」
「これが真剣な顔、これが怒ってるときの顔、」
呆然と俺を見る日椎の顔が、オレンジ色に染まっていく。
「………これが、夕日を見ているときの顔だ。」
街が染まる。色鮮やかな夕焼け色に。
「…………綺麗だ。」
そう呟く日椎は俺を見上げていた。
「見えなくても、点字みたいにこうして触れて、日椎が俺のこと分かるように、俺は傍にいる。」
「………………」
「だから認めろ。日椎は俺が好きなんだって。」
「…………俺、男だし、目も良くないし、ハンデだらけだ。」
「そんなこと聞いてない。俺が聞いたのは、日椎の本音だけ。ハンデだなんて誰が決めたんだ?俺は何も困らない。俺が支えになりたい。」
「………後悔する。」
「しない。今、ここで日椎を逃した方が後悔するよ。」
「…………本当、お節介。」
「うるさい。」
「…………好きだ。」
「…俺も好き。」
日椎の手を掴んでいたはずが、逆に掴み返され、強い力で引っ張られる。
ぎゅっと抱き締められ、俺は苦笑した。
「好き、山碼が好きだ。」
「…うん。」
「もっと、色んな表情(カオ)を見ておきたい。ねぇ、キスしてもいい?」
「うん、いい………え!?」
「ふっははは、可愛い顔。照れ顔だ。」
「からかうなよ……。」
「からかってない。」
ちゅっとリップ音が鳴り、唇に柔らかな感触があった。
「な………馬鹿!」
「可愛い。もっと、もっと、山碼のこと教えて?」
いつか来る終わりは、別の始まりだと信じて。
ーー俺達はこれから共に、未来へ歩んでいこう。
~END~