特進科女子と普通科男子
「……助ける?」
少し間を置いて、美鈴君が私の言葉を反芻するように呟いた。
視線は合わせられなかったけれど、それでも真正面に立って、私はこくっと頷く。
「宮ちゃんは……一度手を出すと、自分が気を失うまで止まらないんです」
顎に手を当てて思案げに目線を下げた美鈴君の隣で、相良君が違和感を感じたのか、こてっと首を倒した。
ふわっと髪が揺れる。
何気ない彼の仕草に、心がどきっと音を鳴らす。
( ……今、それどころじゃないんだってば )
心の中で自分を叱咤しつつ、赤くなったであろう頬に両手を当てる。
……恥ずかしい。
「それって」
相良君の低い響くような声に、はっと意識を引き戻される。
「自分が?相手が、じゃなく?」
「自分が」
そう言い切ると、相良君はふるりと身体を震わせた。
そして、遠い目をして顔を引き攣らせる。
「……俺らで止められるの、それ」
「え、でもさっき……」
言いたいことが分かったのか、二人は顔を見合わせ、気まずそうに目を逸らした。
そして、諦めがついたように嘆息した二人は、揃ってぺこーっと頭を下げた。
「先に謝る。悪かった」
「うん、ごめんなさい」
「え、え?」
突然の謝罪にあわあわと戸惑いながらも、急いで頭を上げるよう促す。