特進科女子と普通科男子
ーー逆に。
今心配なのは、由李ちゃんの親友である宮日ちゃん。
男に囲まれている時は男共を強気に睨みつけ、最後まで泣いたりしなかった。
……というか、最後の方は美鈴と組んで、相手が不憫に思えるまでに華麗に撃退していたほどだ。
それが、今は。
目を赤くして、はらはらと涙を流している。
「由李が、あんた達にお礼が言いたいって……私も、言ってなかったからっ!」
声を詰まらせて、ごしごしと目を擦って俯く宮日ちゃんの背を、美鈴が不器用に優しく撫でる。
( 珍しい…… )
普段大人びた美鈴が、宮日ちゃんの前では何処か不器用で。
触れるのを戸惑っているように見えた。
「おい、擦んな」
「うっ……ぐす」
宮日ちゃんの両手を掴んで、目を擦るのを止めている美鈴。
そこには、純粋に彼女を労るような、心配するような表情しかない。