特進科女子と普通科男子

ーー逆に。

今心配なのは、由李ちゃんの親友である宮日ちゃん。

男に囲まれている時は男共を強気に睨みつけ、最後まで泣いたりしなかった。

……というか、最後の方は美鈴と組んで、相手が不憫に思えるまでに華麗に撃退していたほどだ。

それが、今は。

目を赤くして、はらはらと涙を流している。

「由李が、あんた達にお礼が言いたいって……私も、言ってなかったからっ!」

声を詰まらせて、ごしごしと目を擦って俯く宮日ちゃんの背を、美鈴が不器用に優しく撫でる。

( 珍しい…… )

普段大人びた美鈴が、宮日ちゃんの前では何処か不器用で。

触れるのを戸惑っているように見えた。

「おい、擦んな」

「うっ……ぐす」

宮日ちゃんの両手を掴んで、目を擦るのを止めている美鈴。

そこには、純粋に彼女を労るような、心配するような表情しかない。
< 41 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop